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オススメ度 素人にはオススメできない

今回紹介する作品は「あの」トラウマアニメ『エルフェンリート』だ。
アニメ版とマンガ版があるがここでは主にアニメ版を扱う。
なぜか海外で熱狂的な人気を誇りトルコ語字幕バージョンまでみかけたこともある。
エルフェンリート、ドイツ語で「エルフの歌」を意味するこのタイトルからは
そこはかとな~く美少女ハーレム物なイメージが浮かんでくるかもしれないが
いや、それは一応正しいのである。一応は
なぜ一応なのかは後ほど述べる。

さて、いきなりだがこの作品はギリシア劇『オイディプス王』を下敷きにしている。
前提知識の無い人のために説明しておこう。
若い頃に自分の父親をそれとは知らず殺してしまったオイディプスは
自分の母を妃にしてしまい、そのせいで街が祟られてしまうのだが
何も知らないオイディプスは
更にまずいことに犯人を必ず街から叩き出してやると宣言してしまう。
結果全てが明らかになった時には王妃は自殺し、
オイディプスは自身で目を貫いた挙句街から追放される。
余談だがCLANNADで渚の父親が高校時代に賞を取った時の作品がこれである。

この作品が世に出てから数千年後に現代劇としてリメイクされたのが
イプセンの『野鴨』である。
イプセンは『オイディプス王』の暴く者、暴かれる者、罰を受ける者を
三者に分解し再構築したとされる。
正義感グレーゲルスは自分の父親が妊娠中だった愛人を
親友ヤルマールに押し付け、
現在もその家庭が欺瞞の上で成り立っていることに我慢がならず全てを暴露する。
その上でグレーゲルスは新しい真の家族愛が生まれることを期待するが
実際はそうはならず、ヤルマールは自棄になり娘のヘドヴィグは銃で自殺してしまう。
ちなみにヘドヴィグが遺伝性弱視なことはオイディプスを連想させる。
これまでの西洋劇では人の死を伝えようとすれば
伝令が走りこんできて長々と解説するのが常であったが
この劇のすごいところは死は銃声一発だけで伝えられると証明してみせたことである。
これは後のチェーホフにも影響を与え、
『三人姉妹』でも銃声だけでトゥーゼンバフ男爵の死を伝えるという場面が出てくる。
イプセンは他にもセリフ1行だけで死を伝えられる「転落死」も発明している。

さて、長くなったが本題のエルフェンリートに戻ろう。
ピンク髪で2本角のヒロインのルーシーはディクロニウスという人間型の化け物である。
こいつらはDNAレベルで人間への憎悪が仕組まれている上に強いのだから手に負えない。
ルーシーは子供時代に主人公のコウタと出会い仲良しになるが
コウタが夏祭りの日に一緒に行く子を女の子ではなく男の子だと嘘を言い
それを知ったルーシーは嫉妬と憎悪から夏祭りの帰りにコウタの家族を惨殺する。
あまりの強いショックでコウタはそのことをすっかりと忘れているのだが
この物語はコウタがそれを再認識しルーシーを赦す物語であると言える。
暴く者がコウタであり、暴かれる者、罰を受ける者がルーシーである。

事件から8年後、ルーシーの拘束が解けるところから物語は始まる。
見えない手(ヴェクターハンド)により開始数秒で人間の首や手が次々と千切られ
この作品は既にかなりキテいることが誰の目にも明らかとなる。
ドジっ子で「ああ、この子が萌え担当なのね」と思わせぶりに登場した秘書は
あっという間にルーシーに首をねじ切られて死ぬ

ルーシーが施設を脱走する際頭部にロケットランチャーによる損傷を受け
おとなしい別人格にゅうが誕生する。
ルーシーとにゅうは全く違う声の持ち主に見えるが
それは声優の小林沙苗の演技の賜物である。

にゅうは海辺でコウタに拾われ、下宿先の楓荘に連れて来られる。
間もなくホームレス中学生も楓荘の仲間に加わり
幼馴染みの能登も加わって一見ハーレム状態となるが
にゅうは少し頭部に衝撃を受けるとルーシーに逆戻りしてしまい殺人鬼と化すので
常に爆弾を抱えているようなものであり、そちらが気になってハーレムどころではない。
派手な流血と四肢切断シーンのせいで
その頃の視聴者には既にトラウマがあり萌えるに萌えられない
第4話の少女の四肢切断シーンを抜けた先には
ホームレス中学生が義父に犯されるというおいしいシーンがあるのだが
もはや萌えないゴミと化した本作には不要なものだったのかもしれない。

さてルーシーは送られてきた刺客を次々に返り討ちにする。
最初の刺客の男はルーシーに両目を潰されるのだが
ここもオイディプス王へのオマージュとなっている。
次に来る同じディクロニウスの刺客ですら簡単に両手両脚を切断されてしまう。
彼女らは攻撃力が高くても防御力は全く無いようだ

そうこうしている内にコウタに過去がばれるのだが
アニメ版ではあっさりとルーシーが赦されてしまう。
それでももうコウタと一緒に居られないと悟ったルーシーは銃弾の前に身を晒し
戦いの中で角を失い、にゅうとして再び楓荘に帰ってくる。

まずいところはいくつかある。
まずあまりにもあっさりとルーシーが赦される点、
簡単ににゅうが戻ってきてしまう点、
タイトルにもなっているエルフェンリートが一切登場しない点、
原作にあった後半のエピソードを完全にカットしてしまった点等である。
なので完全版とも言える原作も合わせて読むと幸せになれるかもしれない。

トラウマソングであるOPテーマのLilium(リーリウム)にも触れておかねばならない。
これは教会音楽という中世にあった種類の歌である。
よく聞くとラテン語でキリエエレイソンと歌っているのだが
短調の外国語の女性コーラスが前衛的な映像(主人公達が不気味な人形を抱いている)、
流血の多い本編と合わさって悪夢の世界観を構築するのに一役買っている。
最初は綺麗な映像でも本編を見進めていくうちにトラウマになるという好例である。

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エロサイトのスパムもいつの間にか消えていたことだし
EQを引退してから大分経つのでサイト名を改めての新装開店です。
ええ、廃人ですともw
これからは趣向を変えて色々な評論もしていこうかなと思います。
その方が長続きしそうですので。

本日のお題はこれ、機動戦士ガンダムSEEDです。
放映終了から大分経っていますが未だに語られることが多くあちこちでネタにされています。

機動戦士ガンダムSEED
オススメ度 ★★☆☆☆

すでにちゆ12歳というサイトに素晴らしいまとめがありますが。
http://tiyu.to/permalink.cgi?file=news/03_10_01
これだけでは語り足りぬというわけでございます。

そもそもガンダムSEEDとはどういう話なのか。
遺伝子操作によって生み出された宇宙に住むコーディネイターという種が
星間連合軍事組織ZAFTを結成して
地球に住む非コーディネイターのナチュラルの地球軍と戦争を開始する、
その中でコーディネイターの主人公キラ・ヤマト君がなりゆきで地球軍に加担するため
ZAFT所属の少年兵である親友のアスラン・ザラと対立することになるという筋書きです。
ストーリーは途中まではほぼファーストガンダムに準拠しています。

いきなり5機あった地球軍の新兵器のガンダムを4機もザフトに持っていかれ
残ったのは我らがキラ君が操るストライクガンダムと
どうでもいいガラクタ戦闘機(モビルアーマー)のみ。
そもそもこの貧相な戦力で敵のエリートガンダム部隊と戦うという
序盤のプロットからして破綻しています。
当然の如く展開はグダグダに。

さて、我らがキラ君ですがこの21世紀に今時「遺伝子操作で生まれたスーパーマン」という
SFのガジェットにすらならない陳腐な設定があります。
もうすぐそんな時代が来るっていうのに、ねぇ…。
そんなキラ君もナチュラルの中にいるからこそ輝くものがあります。
親友の恋人を寝取ったり、その恋人からはコーディネイターだからと差別されたり
(何を言ってるか分からないと思いますが
この恋人=フレイ・アルスターというキャラはそういうキチガイキャラです)
色々と人間関係での悩みや確執があり
それがなけなしのリアリティを醸し出していました
これが如何に重要であったかは続編のDestinyと比べると一目瞭然ですがそれはまた後日。

さてジャブローを目指して地上に降りたキラ君御一行は砂漠でゾイド風MAに絡まれたり
水中戦で苦戦したりしますが色々とあってついにアスランとの決戦を迎えます。
というのもその前の戦いで両者とも親友をそれぞれ失っており
引くに引けぬ状況になって怒りに身を任せて戦うのです。
ここがガンダムSEED唯一の見せ場であり(断言)ハイライトであります。
アスランのイージスガンダムの自爆攻撃によって両者のガンダムは破壊されますが
なぜかパイロットはほぼ無傷のまま助かっております。
自爆直前に脱出したアスランはともかくイージスガンダムにがんじがらめにされていた
ストライクガンダムからキラ君がまともに脱出できたとは思えません。

この後2人はそれぞれの運命の少女と出会い、許しあうことを学びます。
なぜか宇宙に搬送されていたキラ君はラクス・クラインから
ザフトの最高機密のガンダムを託され世界平和のために戦うことになります。
が、しかし、ここから脚本が音を立てて軋み始めるのです。

ジャブローについたキラ君を抜いた御一行は
そこでまさしくジャブローの風のようなエピソードに巻き込まれることになります。
地球軍の高官がジャブローを捨てて
基地どころか敵味方を巻き込んで自爆する装置のスイッチを入れます。
ここにキラ君が上空から颯爽と現れて退避勧告をするのですが
このフリーダムガンダムという新型機が桁外れに強い。
ビーム砲の一斉射で敵MS軍を一掃するは、そのくせコックピットには当てずに
手加減していても文字通り一騎当千の働きをするのです。
これまでのガンダムの戦い振りを全否定するかのような強さ。

さて無事ジャブローから脱出したキラ君御一行はオーブという国に行きますが
ここで何と一騎当千のMSを手にしたアスランと合流、ハチャメチャ振りに拍車がかかります。
何も親友と和解するのは戦争が終わってからでもいいと思うのですが…。
ちなみにアスランは形式上は脱走兵です
またここでアスランと中がよくなっていたカガリがキラの妹だということが判明、
スターウォーズを彷彿とさせる展開になっていきます。

この辺りから戦争は殲滅戦の様相を呈し始め、コーディネイター、ナチュラル共に
ろくでもない指導者が大量殺戮を始めます。
こうなっては戦争も何もあったものではありません、
キラとアスランの最強タッグがラクス・クラインに導かれ
両国の指導者を抹殺するべく動きます。
最後はよく分からないままグダグダエンド。
お疲れ様でした。

要するにこのストーリーの致命的なところはまず主人公に無制限の力を与えてしまったこと、
また彼と同じぐらい強いライバルを同じ目的のために共闘させてしまい
戦うべき普通の敵が盤上からいなくなってしまったことにあるのです。
悪夢はこれだけでは終わりません、続編のDestinyへと続いてゆくのです。



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